「米朝対話」のキーパーソン・崔善姫北米局長(右) (C)時事

 

 ニューヨークで流れた「1.5トラック」対話は、ノルウェーのオスロで5月8、9日に実現した。北朝鮮側は崔善姫(チェ・ソンヒ)北米局長らが出席し、米国側はトーマス・ピカリング元国連大使や元国務省不拡散・軍縮担当特別顧問のロバート・アインホーン氏、米シンクタンク「ニューアメリカ」のイラン専門家、スザンヌ・ディマジオ氏らが出席した。

 当初、この非公式協議の中身は明らかにならなかった。協議を終えた崔善姫氏は5月13日、帰国途中の経由地・北京でメディアに対して、トランプ政権との米朝対話について「条件が整えば対話するだろう」と語り注目を浴びた。

 南北対話に前向き姿勢を示す韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権については、「(様子を)見なければ」と話した。もっとも崔善姫氏は南北関係には権限を持っておらず、こう答えるしかなかっただろう。

ようやく実現した米朝「当局者対話」

 さらに、北朝鮮で拘束されている米国人4人(今年5、6月に、新たに米国人2名が拘束)の解放問題について、崔氏は「(接触では)話していない」と述べた。拘束米国人の解放問題は8、9両日の「1.5トラック」では「話していなかった」のかもしれない。しかし問題の本質は、オスロの非公式協議は5月9日に終わっているのに、崔善姫氏が北京に姿を現したのがなぜ5月13日だったのか、ということにあった。

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