裁判所について、私たちはいったい何を知っているのか。この本を読んでいて、だんだん不安な気分になってきた。裁判官とはどのような人々であり、司法権とはこの国においていかなる役割をはたしているのか、そもそも裁判とは何をすることなのか−−−−これらのことについて、私たちは何も知らないし、知らないことを問題にすらしてこなかったのではないか。

瀬木比呂志、清水潔・著/新潮社刊(クリックすると購入サイトに)

 一例をあげれば、刑事裁判の有罪率の高さである。本書によれば、その率は99.9%に上るという。これは実質的にいえば、起訴されてしまえば、有罪になるのと等しいということである。仮に日本の検察が極めて優秀であるにしても、この数字はいくら何でも高すぎるのではないか。そこには冤罪も含まれているのではないか。これらの疑問は当然のように湧き起こってくるであろう。

 これに対し、現在は大学教員として日本の司法の現状に警告を発する元裁判官と、司法問題を追いかけてきた気鋭のジャーナリストの対談から成る本書は、日本の司法の置かれた問題含みの現状を赤裸々に明らかにする。

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