なぜG8サミットが重要なのか

執筆者:田中明彦2008年7月号

 七月には洞爺湖サミットが開催される。福田政権にとってみれば、サミット議長国として世界の環境問題や食糧問題の解決のためどのようにリーダーシップをふるうかが、最大の外交課題である。このように言われている。 しかし、ひるがえって考えてみるに、そもそもG8サミットとは何なのか。言うまでもなく、主要八カ国の首脳が年に一回一堂に会する会合である。一九七五年にフランスのランブイエで第一回が開催されて以来、毎年開催される会合であって、世界でも最も重要な会合の一つと見なされている。しかし、サミットは、国際連合の安全保障理事会や世界銀行などのような国際的な制度とはだいぶ異なる性格の制度である。サミットには、国連の場合の国連憲章のような、設立条約にあたる創設文書はないし、サミットの事務を担当する事務局もない。サミットは、形式的に見れば、あくまでも首脳間の非公式な会合の一つにすぎない。 国際的な制度を大胆に単純化してみると、決定・実行型の制度と交流促進型の制度の二つに分けることができる。具体的な問題に沿って、その問題を解決し、解決のための方策を実施するタイプの制度と、とくに具体的な問題に特化するのではなく関係各国の相互理解や相互交流を増進させるための制度の二つである。

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