今年5月、突然辞任した小山田隆・三菱東京UFJ銀行頭取(右)に代わって急きょ再登板した全銀協の平野会長(左)は、銀行への「総量規制」を断固として受け付けない構えだ(C)時事

 

 最高裁判所は毎年、全国の地方裁判所が取り扱った自己破産件数を『司法統計年報』の中で公表している。それによると、個人の自己破産件数は、2003年(24万2377件)をピークに減少傾向を辿っていた。それが昨2016年、俄かに反転。前の2015年に比べ、687件増の6万4531件に増加した。

 増加に転じた大きな要因として槍玉にあげられているのが、銀行のカードローンである。かつて「サラ金」と呼ばれていた消費者金融からの複数の借り入れによって返済が困難になる、いわゆる「多重債務」による自己破産が社会問題化した。その消費者金融の貸し出しに「年収の3分の1以内」という「総量規制」が課せられたことなどで、冒頭の通り、自己破産者の減少につながった。それが増加に転じたのは銀行カードローンによる貸し出しが増えたからではないか、ならば銀行カードローンにも消費者金融同様の総量規制を課すべきだ――。目下、そうした指摘が急増している。

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