金正日総書記は、「生き残り」を核・ミサイル開発と日朝国交正常化に賭けた (C)EPA=時事

 

 北朝鮮の核・ミサイル開発や拉致問題、日韓間に横たわる慰安婦や徴用工などの歴史認識、そして在日韓国・朝鮮人へのヘイト――朝鮮半島をめぐる問題は多岐にわたるが、これらに向き合おうとする時、私たちにはどんな「作法」が必要なのだろうか。乱れ飛ぶ様々な情報を受け止め、そして考えるためには――。

 朝鮮半島研究の第一人者である小此木政夫・慶應義塾大学名誉教授と、元共同通信ソウル支局長で「朝鮮半島の部屋」運営者のジャーナリスト・平井久志さんが語り合う。

平井:北朝鮮が7月4日と28日にICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星14」の発射実験をしました。その後、北朝鮮の戦略軍司令官が、IRBM(中距離弾道ミサイル)「火星12」4発を同時にグアム沖30~40キロの海上に撃ち込む計画を検討しており、実施されれば「島根県、広島県、高知県の上空を通過することになる」としました。

 さらに北朝鮮は8月15日、金正恩(キム・ジョンウン)党委員長が前日に戦略軍司令部を視察し、グアム周辺へのミサイル発射計画について報告を受けたと報道しました。金正恩党委員長は「愚かな米国の行動をもう少し見守る」として、とりあえず、ミサイル発射は留保しました。一方で「米国が朝鮮半島周辺で危険な妄動を続けるなら、既に宣言した通り重大な決断を下す」と述べており、危機が去ったわけではありません。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。