【特別対談】「韓国」「北朝鮮」との「向き合い方」(6・了)
2017年8月24日
小此木政夫:政治的個性には、国家的というよりも、民族的なものもあります。もちろん、重なっている部分もあるでしょう。南北に共通する、民族的な個性は何かですね。もちろん、その1つには強烈な民族主義(ナショナリズム)でしょうね。それがなければ、大国に囲まれた朝鮮民族は生き残れなかった。
朱子学の「正邪」の思想
小此木:政治文化的には、儒教、とりわけ朱子学の正邪の思想が特徴的です。何が正しくて何が不正なのか。朝鮮民族はそれに非常にこだわるのです。それは韓国でも、北朝鮮でも同じです。言葉遣いまで似ています。朱子学の伝統からくるものでしょう。朝鮮の朱子学的な伝統は中国以上に強いのではないかと思います。だから、朝鮮文化は知識人の文化と庶民の文化に二分されます。
「ろうそくデモ」を見て、それを「大衆の」怒りの噴出と考えるのは間違いです。デモの担い手は、知的なレベルの高い市民運動団体です。大衆デモは、もっと暴力的で、無秩序です。「ろうそくデモ」の参加者は知識人の責務を果たしているつもりでしょう。だから、上を向いて、堂々とデモに参加しているのです。
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