オバマ候補は「黒人」なのか

執筆者:2008年7月号

 バラク・フセイン・オバマ・ジュニアとは一体、何か。十一月四日の大統領選で民主党候補になることが確定した四十六歳(当選すれば来年一月二十日の大統領就任時には四十七歳)のこの人物をめぐり、すべてのアメリカ人が自問自答している。オバマは黒人なのだろうか。ハワイで生れたオバマには大統領になる資格はあるが、そもそも彼はアメリカ人なのだろうか、それともよそ者なのか、と。  アメリカで人種問題として議論するときの定義は、黒人とは奴隷としてアフリカからアメリカへ連れてこられた人たちの子孫、ということである。オバマ・ジュニアの場合は奴隷の子孫ではないし、母親は白人だ。したがって黒人なのか、それともハーフ、あるいはミックス、一体、どう定義するのが正しいのかと自問自答しているのである。それによって大統領選の帰趨が決まる。決して、どうでもいいなどということではないのだ。  父親のバラク・オバマ・シニア。ケニア人でハワイ大学へ留学し、カンザス州出身で白人の女子学生スタンレー・アン・ダナムと恋に落ち結婚。彼女が十八歳のときにオバマ・ジュニアを産んだ。父親は一年後にハーバード大学へ移り、妻子と別居した。その二年後、離婚。父親は少なくとも渡米前はイスラム教徒で、生涯を通じ四人の妻との間に計七人(八人という説も)の子供がいるという。

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