またもや圧縮のターゲットにされそうな介護保険。利用者の怒りを買うことも必至だが、この役所には小手先の制度いじりしかできない。 後期高齢者医療制度の導入で、国民の厳しい批判を浴びる厚生労働省。年金保険料の納付記録漏れ問題が少しも進展しないうちに新たな問題を抱え込んだ格好だが、年末の二〇〇九年度予算編成に向け、同省の前には高齢者の怒りをさらに煽りそうな課題が立ちはだかっている。 〇九年度は介護報酬の改定時期に当たる。「高齢者を社会全体で支える」ことを理念とする介護保険は、初年度(二〇〇〇年度)に約三兆六千億円だったサービス費用が〇八年度の予算ベースで約七兆四千億円と、九年間で二倍以上に膨らんだ。社会保障費圧縮を財政再建の基軸と位置づける財務省は、来年度の介護報酬改定で大ナタを振るおうと手薬煉を引いている。 厚生労働省は「社会保障費の圧縮はもう限界」(舛添要一厚生労働相)などと表向き抵抗の姿勢を示しているものの、〇八年度予算編成で政府管掌健康保険の国庫負担金を大企業の健康保険組合に肩代わりさせた経緯からも明らかなように、最後は財務省に押し切られるのがお約束のパターン。厚生労働省にとって財務省より怖い存在である日本医師会が介護報酬には無関心ということもあって、来年度予算編成で介護保険が社会保障費圧縮のターゲットになるのは確実な情勢だ。

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