北朝鮮のミサイルが飛び越した「愚者の楽園」

執筆者:青柳尚志2017年9月4日
トランプ大統領とも異例の長時間、2日連続で電話会談した(C)AFP=時事

 

 敵ながら天晴れ。9月9日の建国記念日とみせかけて、その6日前に核実験をしでかす。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長もなかなかのやり手である。しかも6度目の核実験は水爆ときている。米国本土に対する核ミサイル攻撃の態勢を着実に整えつつあるのだ。

 そのミサイルが日本列島を飛び越した8月29日朝、Jアラート(全国瞬時警報システム)が全国規模で初めて発動した。政府もメディアも上空というが、日本の領空なのであり、通告なしの上空通過は掛け値なしの領空侵犯である。Jアラートが発令されてから、避難する余裕があるのでしょうか、などとテレビの解説者はしたり顔にコメントする。そういうのを「上の空」というのではないか。

「さきほど、この地域の上空をミサイルが通過した模様です。不審な物を発見した場合には、決して近寄らず、直ちに警察や消防などに連絡して下さい」。政府がミサイル発射のJアラートを発動したのは29日の午前6時2分。対象地域は、北海道と青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、長野の各県である。

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