柯文哲・台北市長は株を上げたが……(C)AFP=時事

 

 この夏、台湾でユニバーシアード夏季大会が開かれた(8月19~30日)。台湾の選手団は、失礼な言い方かもしれないが、予想を裏切って大変な活躍を見せ、合計90ものメダルを獲得し、金メダルの数でも日本、韓国についで第3位に入った。当初は市民の関心が薄かったので、観客動員にも悲観的な見方が強かったが、台湾選手の活躍とともに市民の関心もうなぎ上りに高まり、チケットの販売率は約9割という、ユニバでは過去に例のない好結果となった。

 ホスト役を務めた台北市の柯文哲市長は大きく株を上げ、2018年末に行われる統一地方選挙での再選は、ほぼ確実な情勢となった。これまで、無党派候補である柯文哲市長に対抗馬を出すかどうかで揺れてきた民進党も、柯文哲人気の急上昇をみて、2014年同様、選挙協力の形で柯文哲市長に手を貸して国民党に対抗する方法を続けざるをえないとの判断に傾いている。

 支持率の低迷に苦しんでいた蔡英文総統にとっても、柯文哲市長ほどではないが、プラス材料になったことは確かで、一息ついたという状況だろう。特に政権にとって頭痛のタネになっていた年金改革の反対グループが、ユニバ開会式に押しかけて外国人選手の入場を妨害した問題は、台湾社会から「国際社会に向けて台湾に恥をかかせた」という厳しい批判を浴びた。その代償として反対運動が勢いを失ったことは、蔡英文政権への思わぬ贈り物になった。

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