「ロヒンギャ問題」で問われる「スー・チー責任論」より大事なこと
2017年9月20日
ノーベル平和賞剥奪要求からはじまり、グテレス国連事務総長の「民族浄化と形容するよりほかに適切な表現なし」との発言まで、仏教徒が圧倒的多数を占めるミャンマーにおける少数派イスラム教徒ロヒンギャ族の取り扱いに対するミャンマー政府当局の対応、わけても国家顧問兼外相としてミャンマー政府を率いるアウン・サン・スー・チーに対する国際的非難の声は高まる一方である。おそらく当分は収まることはないだろう。
イギリス植民地政策の犠牲者
ミャンマー国内で約100万人を数えるといわれるロヒンギャ族は、数年前から隣国のタイやマレーシアへ海路による脱出を繰り返してきた。宗教弾圧が原因だという。今回の陸路での脱出によって、西隣のバングラデシュに逃げのびた数は40万人前後と見られる。
今回の難民としての大量脱出を引き起こした直接的な原因は、8月25日の西部のラカイン州における総勢1000人ほどのロヒンギャ族武装勢力(アラカン・ロヒンギャ救世軍=ARSA)による国軍や警察施設などへの襲撃事件にあるとのことだ。
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