無所属になるために代表になり、首相を狙うために都知事になった、のか(C)時事

 

 賽は投げられた。解散・総選挙は政界激変の引き金になろうとしている。安倍晋三首相の解散表明をかき消すような、小池百合子東京都知事による新党の立ち上げ。25年前に日本新党に加わって以来、次々と政党を乗り換えてきた女性都知事にとって、安倍首相による抜き打ち解散は千載一遇のチャンス。あわよくば、自らが首相にという彼女の野望が、日本の政治と経済を引っかき回そうとしている。

民進党は「流れ解党」

 北野武監督・主演の『アウトレイジ』。全員暴走の悪人たちが裏切りと画策を繰り広げる、この極道エンターテインメント映画を、よくもこれだけ政界の悪役たちが地で行く展開である。9月17日に各紙・テレビが報じた「9月解散・10月総選挙」の報に、政界は浮足だった。なかでも解散・総選挙を求めていたはずの民進党は、当日予定されていた自由、社民両党との党首会談を急遽中止せざるを得なかった。安倍首相の仕掛けた奇襲に算を乱す姿は、早くも勝負あったの感を抱かせた。

 その調子で9月28日に臨時国会冒頭に安倍首相が解散を宣言すれば、自民は大勝する。多少は議席を減らすかもしれないが、自民・公明と維新を合わせて憲法改正に必要な3分の2の議席を確保して、来年9月に自民党総裁の3選を勝ちとる。その延長線上で、2019年夏の参院選に合わせて、首相が悲願とした憲法改正の国民投票を実施する――。こうしたシナリオが人口に膾炙した。

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