ソマリア沖「海のPKO」が日本に迫る覚悟

執筆者:山田吉彦2008年7月号

 国連安全保障理事会は六月二日、ソマリア沖に頻出する海賊への対応に関する決議を全会一致で採択した。この決議では、第三国の船が安全に航行する権利を侵さない限り、外国艦隊がソマリア領海内で海賊討伐のために必要なあらゆる措置を実行することを認容している。 アフリカ大陸北東端のソマリアは、インド洋とアデン湾に面し、欧州と中東とアジアを結ぶ海の交差点であり、スエズ運河・紅海を通過する船舶の東の出入り口にあたる。国際海事局(IMB)によると、昨年、全世界で発覚した海賊事件二百六十三件のうち、ソマリア沖で四十四件が報告されている。海賊は、RPG(携行型ロケット弾)やAK-47(突撃ライフル銃)などの武器で船を襲い、無政府状態のソマリア領海に逃げ込んで乗組員の身代金を要求する。昨年、この海域で人質にされた船員数は百五十四人。交渉が不調だと人質が殺害されることもある。 今年に入り、ソマリア海賊の動きが一層活発化し、ロシア、フランス、スペインの船など二十隻以上が襲われた。欧州メディアによれば、これらの事件は、八十万ドル(約八千万円)から二百万ドル(約二億円)の身代金の支払いにより解決したという。ソマリアには、少なくとも四つの海賊グループがあるが、連携して大掛かりな海賊組織を形成している可能性が強い。しかも、海賊は暫定政府と対立するイスラム過激派の資金源となっているとの情報もある。

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