「めまいのような」カタルーニャの2週間

執筆者:大野ゆり子2017年10月13日
治安警察の暴力に反対するデモ(10月3日。プラカードには「EUよ、私たちの権利はどこ?」とある。筆者撮影、以下同)

 

 10月10日夜のカルレス・プチデモン・カタルーニャ州首相の州議会演説は、大国の重大発表のように国際的な注目を集めた。予定より1時間遅れて議会場に入った首相は、地方紙記者を長年勤めた習性なのか、最後まで推敲にペンを走らせた原稿を手に、約1時間にわたって演説した。

 始まってから約20分後、「先日の投票の結果によって、カタルーニャは独立した共和国となる意思表示を行った」と述べたが、その10秒後に、「スペイン政府との緊張を緩和すべく対話を求め、独立宣言を凍結する」と述べた。これに対し、スペインのマリアーノ・ラホイ首相は12日、「これは独立宣言なのか、そうでないのか」を16日までに明確にするよう求めた。スペイン憲法155条では、州が国の利益を損なうとみなされた場合、国会決議によって州の自治権を停止することができる。プチデモン首相の回答が「イエス」であった場合、独裁者フランコの死後、1978年に制定されたスペインの民主憲法下で初めて、州の自治権が停止される事態が現実味を帯びてきた。

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