「難民」で右派が大躍進した「オーストリア総選挙」
2017年10月20日
9月24日、ドイツ総選挙で極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が12.6%、94議席を獲得し人々を驚かせたが、その興奮も冷めやらぬ中の10月15日、今度はオーストリア総選挙で、「オーストリア国民党」が31.6%(15日時点、以下同)を得て第1党に躍進。26.0%の極右政党「オーストリア自由党」との連立が可能性を帯びるに至り、再びヨーロッパに衝撃が走った。
自由党は2000年、国民党のヴォルフガング・シュッセル首相(当時)主導の政権に参加してEUからさんざん批判を浴びた。それから17年、今やヨーロッパで極右政党の政権参加も珍しくなくなったが、こともあろうに伝統的な自由民主主義陣営の一角を占めるオーストリアで、またもや極右政党を交えた連立政権の誕生ともなれば、EUとして看過できる事態ではない。一体いかなる事情でこうなったのか。
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国民党自体は、オーストリアの老舗政党である。戦後のオーストリアは中道右派の国民党と、中道左派の「社会民主党」が連立を組みつつ主導してきた。実に国民党は55年、社民党は61年の政権参加の歴史を持つ。総選挙前の政権もこの両党の連立だった。ここに、長年続いた「倦怠の政治構造」を破る2つの衝撃が加わる。
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