世界59の国と地域が参加し、51種目で競う「国際技能五輪」(第44回アブダビ大会公式HPより)
 

 

 神戸製鋼所の検査データ改竄などの不正事件は自動車、電機、鉄道車両など多方面に波及するとともに、世界における日本製品の信用低下を招いている。当初は無資格者による検査でも安全性や品質には問題ないと開き直り、無資格検査を継続していた日産自動車も、自らの不正の重大さに気が付いた。

 この事件の渦中で、連動するかのように日本のモノづくりを震撼とさせる出来事があった。10月14日~19日にアラブ首長国連邦のアブダビで開かれた「技能五輪国際大会(国際技能五輪)」の金メダル獲得数で、日本が過去最低の9位に沈んだのだ。トップになったのは韓国の5連覇を阻止した中国。中国は参加4回目で初めてのトップとなり、モノづくりの黄金期に入る予感を漂わせ始めた。

「中国の躍進」と「日本の低迷」

「国際技能五輪」は、22歳以下の若手のみが参加資格があり、旋盤、フライス盤、溶接、自動車板金、左官など伝統的な技術部門から情報ネットワーク施工、メカトロニクス、ウェブデザインなどIT系、美容・理容、洋裁、洋菓子製造、ビジュアル販売促進など消費者に直結するような分野もある。今回のアブダビは第44回大会で、51種目に59の国と地域から約1250人が参加した。

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