「国民戦線」の「顔」として蜜月だったが…(左からマリオン=マレシャル・ルペン、マリーヌ・ルペン、フロリアン・フィリポー) (C)AFP=時事

 

 反EU(欧州連合)の代表とされたフランスの極右政党「国民戦線(FN)」が、ユーロ離脱の看板を下ろした。

 10月19日の国営放送『France2』のテレビ番組で、マリーヌ・ルペン党首は「急激な離脱ではなく、主権回復を徐々に行っていく」と語り、まずテロリストや不法移民が入らないよう国境検査を復活することから始め、通貨主権は一番最後に行うと説明。そして、「ユーロがフランスにとっていいものになるなら、それでいい。成り行きを見てみよう」と述べた。「大統領選挙のマニフェストでは、政策の70%はユーロ離脱が前提になっているが」と、インタビュアーに突かれると、「まず30%から始めるのです」とかわしていた。

 英国のEU離脱や、「アメリカ・ファースト」のドナルド・トランプ米大統領の成功を見て、ルペン候補は大統領選で反ユーロを前面に出したのだが、選挙運動中、英国と違ってフランスでは、離脱は国民に不安を与えるマイナス要因だったことを痛感したに違いない。そこで方向転換したのだ。時流にさといFNらしいと言えるが、じつはこの路線変更の裏には、党を揺るがす危機があった。

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