11月7日、青瓦台を散策するトランプ大統領(左)と文在寅大統領 (C)AFP=時事

 

 トランプ米大統領は日本に引き続き、11月7日から1泊2日で韓国を訪問した。韓国側は、アメリカ大統領としては25年ぶりとなる国賓待遇を用意してもてなしに懸命だったが、北朝鮮対応をめぐるトランプと文在寅(ムン・ジェイン)大統領の本質的な溝は埋めようもなかった。その背後には一体何があるのか。

「当事者性」のない韓国

 北朝鮮に宥和的とされる文在寅は、トランプ訪韓に先立つ11月1日、韓国の事前同意がない軍事行動はあり得ない、と国会の施政演説で述べた。ここで確認しておかなければならないのは、韓国軍の作戦統制権のありかだ。

 平時における統制権は1994年に韓国に返還されたが、戦時におけるそれは依然として返還されていない。すなわち北朝鮮との戦争が始まれば、韓国軍は文大統領ではなく、米韓連合軍司令官(在韓米軍司令官が兼務)を通じてトランプの指揮に服するということになる。

 この事実は、韓国が北朝鮮有事の当事者ではないことを端的に示している。朝鮮半島南部に位置する韓国領土は、物理的には戦場となるかもしれないが、韓国という国家は戦端が開かれると当事者性を失う、ということだ。

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