今年も「骨太の方針」が打ち出される時期がやってきた。福田康夫内閣にとってはもちろん初めての「骨太」である。内閣の改革姿勢を測るバロメーターともいえ、その内容は国際的な日本の評価に直結し、株価の行方をも大きく左右する。 だが、残念ながら今年は「骨太」と呼べるほどの思い切った改革案は出てきそうにない。骨太に盛り込む改革案の原案を作る「改革のエンジン」だったはずの経済財政諮問会議は、福田首相のリーダーシップ欠如をいいことに、いまや霞が関官僚にすっかり牛耳られてしまった。小泉元首相が竹中平蔵担当大臣とともに、抵抗勢力を封じ込める場として活用した頃の面影はまったくない。 今年、骨太に盛り込まれる改革の“目玉”の一つが「羽田空港の国際化」。二〇一〇年に新滑走路が完成するのに合わせてソウル、上海、北京、台北、香港を結ぶ定期便を就航させるとしている。新聞各紙は「航空の自由化に向けて大きな一歩を踏み出す」と賛辞を贈るが、これとて諮問会議ですっかり骨を抜かれた抜け殻だ。 国際線は成田、国内線は羽田という国民の利便性を無視した区分けに固執してきた国土交通省にとっては、羽田から国際線定期便を飛ばすことは「方針の大転換」なのだろう。それに賛辞を贈る新聞は、すっかり国交省にコントロールされているとみえる。

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