あなたもETC“利権ゲート”を通っている

執筆者:杉谷剛2008年7月号

「利用者のため」と称して普及キャンペーンに税金を注ぎ込む。加入率が上がれば道路マフィアの財布は自然にふくらむことに――。 東京・霞が関の国土交通省。一階にある道路局長室を訪ねると、入り口の異様な光景に思わず立ち止まってしまう。扉の周囲は銀色のゲートで縁取られ、最上部には青地に大きな白抜き文字で「ETC専用」とある。高速道路の料金所にあるETCゲートが再現してあるのだ。 ETC(自動料金支払いシステム)は、有料道路の料金所で車を停めることなく無線通信により通行料金を支払う仕組みだ。日本では渋滞緩和や環境対策を目的として二〇〇一年から導入されたが、当初は車載器が三万―五万円台、取り付け代も五千―一万円と割高だったため、なかなか普及しなかった。 ところが、導入から四年が過ぎても三〇%ほどだった利用率が、その後、今年四月までの三年間で七三%を超えた。神奈川県内の自動車ディーラーが説明する。「自動車メーカーや電機各社が作る車載器が、安ければ一万円台まで大幅に値下がりした。加えて三年前に割増し付きのハイウェイカード(ハイカ)が販売中止となり、代わってETC利用者への様々な割引制度ができたことが大きい」

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