ムガベ大統領(左)の後継者を目論んでいたグレース夫人だが……(C)AFP=時事

 

 アフリカ南部のジンバブエで11月14日深夜から15日未明にかけて、国軍の一部兵士が首都ハラレの政府関連施設や国営放送局を占拠した。事態は刻々と動いており、情勢の推移についてはマスメディアの報道を参照していただきたい。本稿では、マスメディアの報道に接しているだけでは理解が難しいと思われる点について、ジンバブエの歴史や政治・社会情勢を踏まえながら解説を試みたい。

見えない首謀者

 現地からの第1報によれば、首都ハラレでは武装した兵士が政府関連施設や放送局を占拠し、爆発音や銃声が聞こえたという。隣国南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領は15日に発表した声明で、ジンバブエのロバート・ムガベ大統領(93歳)と直接電話で会話し、ムガベ氏が自宅軟禁下にあることを確認したと明らかにした。首都ハラレではムガベ氏の退陣を求める数万人規模の市民デモが行われ、同氏は与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)の党首を解任されたものの、19日に記者会見を開いて大統領職にとどまる意向を明らかにした。

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