控訴審判決が注目される(同研究所HPより)

 

 11月、チンパンジーをめぐる研究で世界的な成果が相次いで発表された。1件目は、2頭のチンパンジーが互いに役割分担して数字を順に並べ、連続的な協力行動で課題を解決する能力があることを実証した。もう1件は、手の届かない場所の食べ物を要求する際、距離に応じて身振りを使い分ける能力があることを実証した。ともに世界初の成果として英科学誌に掲載され、注目を集めた。

 両研究の舞台は、京都大学の霊長類研究所。「『ヒトとは何か』あるいは『ヒトはどこから来て、どこに向かうのか』という、わたしたち人類にとって不滅の課題を総合的に研究する国内唯一の霊長類の研究所」(HPより)で、サル学の国際的権威である河合雅雄博士がかつて所長を務めていたことでも知られる。

 この名門研究所の施設工事をめぐり、京都大学および同研究所の教授と准教授(ともに当時)を被告とした訴訟が2年前から続いている。原告は工事を受注した業者で、東京地方裁判所で行われた1審では2017年5月、原告が敗訴したものの、現在係属中の東京高等裁判所での控訴審では新証拠が提出され、一挙に形勢が変わっている。

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