「ビットコイン」の購入と売却ができる専用機まで登場していたが……(C)時事

 

 11月29日、突然「ビットコイン」のバブルが破裂した。仮想通貨として人気を集めるビットコインは、1枚当たりの相場が初めて1万ドルを超えたのもつかの間、1万1000ドルにまで跳ね上がった。急落はその直後に起きた。1万434ドルの最高値を付けた直後に、9009ドルにまで一気に21%も下落したのである。あわや9000ドルを割るかと思われたが、押し目買いが入り、11月30日の時点では1万ドルの大台で取引されている。

ビットコインの暴騰と急落

 ビットコインと呼ばれる仮想通貨の乱舞ほど、カネ余りと称せられる今日の時代相を映すものはないだろう。ビットコインは国家や中央銀行という存在から切り離された、電脳空間の仮想通貨である。この仮想通貨を使えば国境を越えて送金ができ、保有資産をうまい具合に守ることができる。国家の存在を離れて、取引の参加者同士が「通貨」の価値を決めているところがミソである。

 例えば、ロバート・ムガベ大統領による38年間の独裁から解放されたジンバブエ。財政が破綻してハイパーインフレが進む中で、人々は自国通貨など信用しない。手持ちの資産をドルに換え、海外の銀行に送金したいと思っても、国際的な送金・決済網からは遮断されている。そこで進退窮まった小金持ちたちが、窮余の一策としてビットコインの買いに走った。国家の支配が及ばないビットコインなら、パソコンやスマホの操作1つで取得することができるからだ。

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