「北朝鮮危機」対処の処方箋(下)「火星15」が使いものにならない「理由」
2017年12月12日
ではなぜ、米国はここまで中国に圧力をかけ続けることができるのか。今回発射されたICBM「火星15」は、とうとう米本土を射程に入れ、米国の直接的な脅威は飛躍的に増大した、と言われているのに、なぜ自ら動かず、北朝鮮問題の解決を中国に任せようとするのか。
答えは簡単である。米国は、北朝鮮のICBMは米国に届く兵器として完成しない、と判断しているからだ。それは米本土に届くかどうかだけではない。ハワイにもグアムにも核付きミサイルを落とすことなどできない、と見ているのである。
それは、ごく簡単な事実によって説明できる。THAAD(高高度ミサイル防衛システム)が、韓国には配備されたが日本にはない、という事実だ。
日本に「THAAD」がない理由
2013年の北朝鮮による3回目の核実験は、米韓の情報サイドに衝撃を与えた。これで1~1.5トンまでの大きさの核弾頭は完成する、と。ただこの重量の弾頭だと重すぎるため、北朝鮮のミサイルで運ぶことができるのは、短距離(射程300km)のスカッドミサイルだけだ。しかしこれにより、北から南には核付きミサイルを撃ち込むことが可能となる、と情勢判断されたのだ。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。