トランプ大統領(左)と金正恩党委員長(右)の間で「対話」が始まったら……(C)AFP=時事

 

 米国の外交・安保の基本は揺らいでいるのか。それには2つの見解がある。

 1つは、ドナルド・トランプ米大統領の特異性に注目し、かつての強固な同盟関係が、米国第一主義によって大西洋でも太平洋でも揺らいでいるとする見方だ。

 もう1つは、米国の建国の父祖たちが構築に情熱と理性とを注いだ権力の均衡の構図は、トランプのもとでもその底力を発揮しているとし、米国は揺らいでいないとの見方だ。

 前者の見解を証明するものの1つは、12月18日に発表された「国家安全保障戦略」であろう。中国とロシアとを修正主義勢力と位置づけ、米国主導の秩序を脅かそうとしているとの認識を示す。また北朝鮮とイランとを「ならず者国家」と位置づけ、軍事力の強化で対応を急ぐが、同盟国にも貢献を求めるとしたのだ。

 北朝鮮については「すべての対応策はテーブルにある」として、軍事的な先制攻撃も排除していない。「リトル・ロケットマン」と北朝鮮の指導者を揶揄する大統領に危うさを感じるのは、米国の同盟国ですらある。

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