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 アメリカ連邦準備制度(Federal Reserve System)は、単一の機関ではなく、12の地区連邦準備銀行によって構成され、連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board:FRB)によって統括される。理事会のメンバーは、銀行界ではなく大統領によって選ばれ、上院の承認をえなければならない。

 このように、連邦準備制度は分権的で、選挙によって選ばれた議員の指揮下にあるように見える。しかし、その実態は異なる。

 ジェームズ・リカーズ『通貨戦争』(朝日新聞出版)によれば、連邦準備制度には、ジキル島に集ったオルドリッチ・グループの真の意図に沿った仕組みが埋め込まれていた。

 なぜなら、アメリカの金融政策を実質的に決定しているのは、地区連銀のなかで最大であるニューヨーク連邦準備銀行であるからだ。

 FRBが取引することになる大手の銀行やディーラーはニューヨークに集中しており、公開市場操作によって実施される実際の金融政策は、ニューヨーク連銀が牛耳ることになる。

 ニューヨーク連銀は理事会と総裁によって運営されるが、理事や総裁を選ぶのは政治家ではなく株主であり、株主のほとんどは大手銀行だった。とくに、ロックフェラーとクーン・ローブが支配するナショナル・シティ・バンク・オブ・ニューヨークと、J.P.モルガンのファースト・ナショナル・バンクオブ・ニューヨークが重要だった。

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