「製薬会社」が米国を滅ぼす鎮痛剤「オピオイド危機」の現実
2017年12月29日
ボストンの高級住宅街を車で通過すると、わずか数分で、同じ通り沿いにもかかわらず、薬物依存症の人たちがホームレスとなって住んでいる地域にたどり着きます。この地域について10月27日、『CNN』があるレポートで取り上げていました。まずその内容をご紹介します。
「死んだ方が楽だと思う」
5歳の息子の父親であるビリーさん(31)は、16歳から注射器を使ってヘロインを常用していました。きっかけは、13歳のときに処方された医療用麻薬のオピオイド系鎮痛剤でした。しかし、この鎮痛剤は高価だったため、替わりに安価で幻覚作用の強いヘロインを鼻から吸引し始め、次第に即効性のある静脈注射を使用するようになりました。ヘロインを始めて服用した際には、まるで「神様に会ったような」多幸感に包まれるほどだったと、そのときの様子を説明しています。
ビリーさんは入れ墨師になりたかったそうですが、現在、職に就いておらず、ホームレス。『CNN』の取材中であっても、注射器を手に、しきりに腕の血管を探しています。記者が「話をしているときくらい、ヘロインをやめられない?」と聞いても、「何であっても、自制させることはできないよ。そのくらい依存症は悪いことだとは自覚している」と答えながら、カメラの前でヘロインを注射していました。
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