K校から鈴木さんに送られたアルバイト関連の資料など(筆者提供)

 

 アジアの新興国から出稼ぎ目的で来日する“偽装留学生”の急増によって、彼らの受け入れ先となる日本語学校が「バブル」に沸いている。NHKの調査によれば、日本語学校の数は過去5年で200校以上も増え、全国で643校を数えるまでになった。既存校の拡大も相次ぎ、東京都内では定員2000人以上というマンモス校もある。そんななか、現場で苦悩しているのが日本語教師たちだ。

 日本語学校の多くで“偽装留学生”が溢れている。彼らは日本で少しでも多く稼ごうと、「週28時間以内」というアルバイトの制限に違反して働く。勉強などそっちのけで、夜のバイトに備え授業を睡眠時間にあてる。日本語など上達しなくても、学校は意に介さない。失踪せず、学費を支払ってくれる限り、自らのビジネスは安泰だからだ。こうした現実を前に、理想を持って日本語教師となった人たちほど葛藤を覚える。

 この連載で“偽装留学生”問題を取り上げて以降、筆者のもとには多くの日本語教師から連絡があった。自らの学校が“偽装留学生”を受け入れ、違法就労までも黙認していることへの罪悪感を訴えてくる人も少なくない。そんな1人が、元勤務先の日本語学校を相手取り、2017年6月に損害賠償訴訟を起こした鈴木信博さん(仮名・30代)だ。

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