第1次世界大戦もマネーの戦いだった

執筆者:野口悠紀雄2018年1月11日
(C)AFP=時事

 

 1914年7月に第1次世界大戦が勃発。戦争は当初の予想を超えて長期化し、大量殺戮兵器の出現によって一般市民もまきこまれ、未曾有の犠牲と被害がもたらされた。

 戦争の勃発とともに、ドイツ、フランス、イギリス、オーストリアなどの参戦国は、金本位制から離脱した。

 1918年11月、ドイツとオーストリア・ハンガリーが敗れ、大戦は終結した。

 この大戦は、日本から離れたヨーロッパ大陸を戦場として行われたため、日本人の感覚では、必ずしも歴史上の大事件としては捉えられていない。しかし、ヨーロッパの人々から見れば、ある意味では第2次世界大戦よりも大きな事件だった。なぜなら、この大戦によって、それまでの世界秩序が決定的に破壊されたからだ。ドイツでは、すべての王侯貴族が追放された。オーストリアでは、600年以上にわたって君臨してきたハプスブルク家が追放された。

 4年3カ月にわたった戦争の戦費も巨額だった。富田俊基『国債の歴史』(東洋経済新報社)によれば、ドイツは戦前の予算の50年分、イギリスは38年分、フランスは27年分、ロシアは18年分を費やした。ピーク時軍事費のGNPに対する比率は、ドイツが53%、イギリスが38%、アメリカが13%だった。

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