アイスホッケー女子の南北合同チーム「コリア」。胸元には「統一旗」マークが (C)時事

 

 今回の平昌五輪で何と言っても最大の注目点は、韓国と北朝鮮による史上初の合同チーム結成だろう。北朝鮮の参加自体も金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による1月1日の「新年の辞」からドタバタで決まっただけに、歴史に刻まれるはずの「南北統一チーム」結成の経緯にも多くの矛盾が内包されたまま。だが、それでも、いよいよ幕は上がる。

戦略的に利用

 IOC(国際オリンピック委員会)が北朝鮮の五輪参加を認めたのは、「平和への大きな貢献になる」との立場からだろうと思いたい。しかし、その後の動きや報道を見る限り、北朝鮮はオリンピックを戦略的に利用しており、「スポーツの祭典」に対する真摯な敬意や尊重を存分に払っているとも認めがたい。IOC自体、どこまで世界平和に貢献する強い使命感を抱いて決断したのか、不透明だ。単に、北朝鮮が祭典に参加している方がずっと緊張は緩和する、と思っているだけとも見える。狭い視野と目的で、「五輪開催期間中の安全を担保するため」に北朝鮮との合意に至ったのだとしたら、いよいよオリンピック・ムーブメントの商業主義化ばかりが際立つ形になる。IOCがオリンピック・ビジネスの安全と維持のためにだけ動いたのだとしたら、今後の対応は、弱腰にならざるをえないだろう。

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