外国人観光客の人気は、ハイエンドブランドから「日本製」の化粧品へ移っている (C)時事

 

 米国発の株価の暴落を引き金に、日本の株式市場も乱高下が続いている。そうした中で、安倍晋三首相は「雇用は改善している」「景気回復の波が津々浦々に及んでいる」と繰り返し、実態景気の明るさを強調する。景気の先行きが明るいから、株価の下落は一時的というわけだ。

過去最多を記録

 その景気の先行きを占う最大のポイントが消費の行方だ。

 ところが、その前提となる可処分所得、つまり手取りの給与がなかなか増えない。厚生労働省が2月7日に発表した毎月勤労統計調査の2017年分によると、現金給与総額は前年比0.4%増えたものの、消費者物価指数が0.6%上昇したことから、実質賃金指数は0.2%の減少となった。つまり、賃上げが物価上昇に追いついていないのである。

 日本銀行の黒田東彦総裁が再任される見通しになったが、この結果、2%の物価上昇をターゲットにした金融緩和政策が、当面、維持されることとなった。今後も物価はジワジワと上昇することになりそうだ。一方、安倍首相は今年の春闘で経済界に対し、「3%の賃上げ」を求めているが、ハードルは決して低くない。社会保険料の負担増などもあり、2018年度に実質賃金がどれだけ増えるのか心もとない。そうなると当然、消費は思うように改善していかない、ということになる。

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