まるで火事の現場か戦場のよう(筆者のYouTubeより。視聴の際は激しい点滅と爆音に注意)

 

 3月1日、台湾南部の台南市塩水で行われた「塩水ロケット花火祭り」(3月1~3日)に出かけた。発射されるロケット花火の総数は60万発、放たれる爆竹は数え切れない。「台湾で1番危険なお祭り」「世界10大危険イベント」などと評される激しいお祭りで、近年、台湾内外の人気を集めており、人口3万人の小さな町に台湾中から数十万人の怖いもの知らずが駆けつけるほどの過熱ぶりである。

疫病落としの縁起かつぎ

  塩水は「意麺」と呼ばれる乾燥麺の産地として知られる古い港町。お祭りは、新年の最初の満月にあたる元宵節に行われ、夕方から翌日未明まで続く。古くは町で流行したコレラなどの疫病落としの縁起をかついで始まったもので、町中を練り歩く神様に向けてロケット花火を打ち込むことで、疫を神様に預けてしまおうという願いが込められている。もともとは爆竹だったのが、いつの間にかより派手なロケット花火に切り替わったところが台湾らしい。

 塩水は台南市だが北側にあるので、台南の北にある嘉義から行った方が近い。台南の友人が案内してくれることになり、台湾新幹線の嘉義駅まで車で迎えにきてもらった。そこから30分ほどで塩水の市街地に入れる。

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