人生100年時代構想会議で挨拶する安倍首相。「人生100年時代」の真意とは? (C)時事

 

 「働き方改革」が花盛りだ。安倍晋三内閣が「働き方改革」を政策として掲げ、本来は民間企業の問題であるはずの「働き方」に口を出し続けているのには、それなりの理由がある。

 ちょうど議論のタイミングが、電通の女性新入社員の過労自殺が労災認定されたのと重なったこともあり、世の中の関心は「長時間労働の是正」に向いた。電通に労働基準法違反の疑いで厚生労働省の強制捜査が入り、社長が辞任に追い込まれたこともあって、大手企業を中心に「働き方改革=労働時間の短縮」という動きが一気に強まっている。

 もちろん、長時間労働を見直すことは重要だ。だが、そもそも働き方改革とは、残業を減らし、労働時間を短くすることだけが狙いではない。

「日本型」の改革

 安倍内閣が「働き方改革」を打ち出したのは、少子高齢化が進む中で日本経済を再び成長させるには、日本企業に「稼ぐ力」を取り戻させることが不可欠だと考えたことが本来の出発点だった。2014年6月に閣議決定された成長戦略「『日本再興戦略』 改訂2014」で、「日本の『稼ぐ力』を取り戻す」という方針が打ち出され、コーポレートガバナンス(企業統治)の強化や年金の見直し、産業の新陳代謝などを訴えた。

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