トランプ米大統領(左)とモラー特別検察官。ロシア疑惑の捜査は、最終ターゲットまでたどりつくのか (C)AFP=時事

 

 ロバート・モラー特別検察官によるロシア疑惑の捜査が始まってから、わたしは捜査の進展を毎日追いかけ、ベタ記事のような小さな情報も見逃さないよう心がけてきた。しかし、巨大な氷山の水面下に深く隠されたロシアとドナルド・トランプ米大統領の共謀の事実は、なかなかその片鱗すら見せようとしない。モラーの捜査は多岐にわたり、およそ繋がりなく分散する、いくつもの点を追いかけているようにも見える。それぞれが疑惑の方向にベクトルを向けているものの、共謀の全体像は姿をあらわさない。

投げかけられた「幅広い網」

 隔靴掻痒とはこのことだろう。モラーが何の目的で、何をやろうとしているのか、なぜここにこだわるのか、などと悩まされていた折の3月5日、『ワシントン・ポスト』(初報NBC ニュース)が思わぬ見出しを掲げた。

 「モラーは幅広い網を投げかけている。今やターゲットはトランプだ」

 わたしの知る限り、捜査の対象がトランプに絞られてきたと報じられたのは、初めてのことだった。それも、2点について的を絞ってきたというのである。この2点を調査するために、数多くの証人に召喚状が送られた。モラーの捜査網が広い範囲におよんでいたのは明らかである。

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