米朝間の仲介者として存在感を増すスウェーデンを訪問した、北朝鮮の李容浩外相 (C)EPA=時事

 

 ドナルド・トランプ米大統領は3月8日、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)青瓦台国家安全保障室長との面談で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と5月までに会談すると述べた。しかし北朝鮮メディアは、本稿執筆時点(3月18日)では、4月末に板門店の韓国側にある「平和の家」で開催することに合意した南北首脳会談や、史上初の米朝首脳会談について直接的な言及を避け、沈黙している。

 4月末の南北首脳会談は、韓国特使団と金党委員長との会談で決まったものであり、予定通り行われるだろうが、5月までの米朝会談は、韓国特使団を通じて伝えた金党委員長の「早く会いたい」というメッセージに対するトランプ大統領の回答があるのみで、北朝鮮当局がこの受諾を最終的に受け入れるのかどうかを明確にはしていない。

 2つの首脳会談についての北朝鮮側の唯一の反応は、3月6日に党機関紙『労働新聞』などが「金正恩委員長は、南側の特使から首脳対面に関連する文在寅(ムン・ジェイン)大統領の意を伝え聞いて意見を交換し、満足な合意をみた」と報じただけだ。北朝鮮住民は南北首脳会談について、金党委員長が「満足」するような合意があったことを知っているだけで、4月末という時期や、板門店という場所についても知らない状況だ。

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