次はいよいよ中国上陸 iPhoneの前に難題

執筆者:肖宇生2008年8月号

 六月、米アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は、高速データ通信に対応した「iPhone(アイフォーン)3G」を欧米や日本などの二十二カ国で七月十一日に発売することを発表した際、年内にも中国政府機関の承認を得て「世界最大の携帯電話市場」の中国に進出すると豪語した。しかし、その前途は困難を極めると言わざるを得ない。 まず、通信キャリアとの交渉だが、一向に進展が見られない。これまでアップルは、携帯最大手の中国移動(チャイナモバイル)と交渉していた。しかし、通信料の一部をアップルに上納しなければならない仕組みをチャイナモバイルが到底受け入れるはずもなかったようで、協議は打ち切られているという。 アップルの今回の発表では、現行の収益共有の契約ではなく、通信会社が携帯端末メーカー(すなわちアップル)に販売奨励金を支払う従来の販売モデルを採用するようだが、そもそも交渉相手が悪すぎる。チャイナモバイルは、すでに四億人を超えるユーザーを抱え、国内シェアの七割を占める、一人勝ちの状態。さらに時価総額も英ボーダフォンを超え、名実とも世界ナンバー1のキャリアになったチャイナモバイルから見れば、天下のアップルといっても特別な存在ではなかった。

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