2017年12月、東証1部復帰会見後の戴正呉社長。よく働き、「気配り」の人でもある (C)時事

 

 シャープを買収した台湾の「鴻海(ホンハイ)精密工業」と、ジャパンディスプレイ(JDI)の再建を主導する「産業革新機構」。両者の実力差が浮き彫りになってきた。ホンハイに買収されたシャープの業績は鮮やかなV字で回復、JDIは泥沼の業績不振が続き、資金が底を突きかけている。産業革新機構を差配しているのは言わずと知れた経済産業省。官庁を司令塔とする護送船団方式が、ダイナミックな華僑経営に敗北する構図である。

4年ぶりの黒字転換

 3月8日、上海で開かれた中国家電及び消費電子博覧会の会場。シャープ社長の戴正呉は、額の部分に大きく「8K」の文字が入った赤い野球帽を被って、現地メディアの取材に機嫌よく応じていた。戴の背後には104インチの8Kパネルを8枚貼り合わせた巨大ディスプレイがあり、北京故宮博物院が所蔵する「宋版清明上河図」を鮮やかに映し出していた。

 8Kとは今売られている液晶テレビの最上位機種「4Kテレビ」の4倍に当たる3300万画素を映し出す超高精細の次世代ディスプレイであり、シャープは2017年10月、世界に先駆け中国で家庭向けでは世界初の「8Kテレビ」を発売した。

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