金本位制の崩壊と管理通貨制度への移行

執筆者:野口悠紀雄2018年4月19日
(C)AFP=時事

 

 第1次世界大戦の勃発で、各国とも金本位制を一時中止し、管理通貨制度に移行した。戦争によって増大した対外支払のために、金を政府に集中させることが必要になったからである。

 また、戦禍のため、世界最大の為替決済市場であったロンドンが活動を停止したこと、各国間での為替手形の輸送が途絶したことなども影響した。

 ただし、これはあくまでも一時的な措置で、戦争が終われば解除されるはずのものであった。

 事実、アメリカは大戦終了直後の1919年に金輸出を再開し、金本位制に復帰した。

 また、1922年に開催されたジェノア会議において、先進各国ができるだけ早く金本位制に復帰することを求める決議もなされた。1925年には、イギリスをはじめ各国が金本位制に復帰した。

 この時、イギリスは国家的威信にこだわり、旧平価(大戦前のレートである1ポンド=4.86ドル)で金本位制に復した。これは、イギリスの繊維・機械・石炭産業が衰退して国際競争力を失っていた現実からすれば、ポンドの過大評価であり、輸出が減少し、貿易収支が悪化した。

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