「自民税調」最高幹部の哀しい仲間割れ

執筆者:浜健太郎2008年8月号

 昨今の消費税論議の元は、小泉政権時代の二〇〇四年に遡る。当時、国民年金の未納問題が発覚し、信頼回復を迫られた政府は、将来の年金の給付水準を維持するため、〇九年度から基礎年金の財源のうち国が税金から充当する割合を三分の一から二分の一に引き上げることを決める。財源は消費税増税しかないというのが社会保障族の共通認識。昨秋の福田政権誕生後、“増税派”のリーダー、与謝野馨前官房長官が自民党財政改革研究会会長に就任したのも、その路線に沿ったものだった。 増税派が動き出したのは五月二十日。自民党税制調査会の“インナー”と呼ばれる最高幹部会が秘密裏に開かれたのだ。これまで“インナー”の決定は党税調、そして、政府の決定事項となってきた。現メンバーは、税調会長を務める津島雄二元厚生大臣、与謝野氏、柳沢伯夫前厚生労働大臣、野田毅元自治大臣の四人。彼らはこの席で、例年は十二月頃から始める党税調の総会を夏に前倒しすることを決める(実施は七月一日)。異例のことであり、来年度からの消費税増税の実現に向けた意欲を示すものだった。 旧大蔵省出身の津島氏は、自らが会長を務める津島派として、来年度からの増税を求める提言をまとめ、官邸に突きつけることを画策した。が、思惑は見事に外れる。

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