再び「選手」としてのこの勇姿を見られるのか(C)AFP=時事

 

 レジェンドが再びベンチに帰ってきた――ただし、選手としてではなく。

 今季の全試合不出場を宣言したばかりの「シアトル・マリナーズ」イチロー外野手が、5月12日に敵地で行われた「デトロイト・タイガース」とのダブルヘッダーで、コーチ役としてベンチに入った。スコット・サービス監督が長女の卒業式に出席したため首脳陣の枠が空き、2試合で監督代行を務めたマニー・アクタベンチコーチのサポートに回った。たとえグラウンドで躍動はしなくても、その一挙一動に注目が集まったのは言うまでもない。

旨味のある破格の条件

 5月3日に会長付特別補佐に就任し、フロント入り。「生涯契約」となったことで日本はもちろん、全米中を驚かせた。今季は出場選手登録枠から外れてプレーすることはなくなったが、現役を引退したわけではなく、チームに帯同しながら練習を続けている。現段階では、来年3月20、21日に日本の東京ドームで予定されている「オークランド・アスレチックス」とのMLB開幕戦で、海外での公式戦は規定により選手登録枠を増やせることから、限定的な復帰を果たすとの見方が強い。以降も、チーム内で故障者が出た場合などに選手としてプレーする可能性があるという。歴史の長いメジャーリーグでも異例の契約内容となった背景には、球団側のイチローに対する畏敬の念がうかがえる。

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