占領地での戦費は軍票で調達された
2018年5月24日

(C)AFP=時事
第2次世界大戦が進行するにつれて、占領地域において使用される戦費の割合は増大していった。これを賄うため、旧日本軍はアジアの占領地域で軍票を用いて戦費調達を行った。
軍票は、軍隊が現地における物資調達やその他の支払いのために発行する擬似紙幣である。正式には軍用手票と言われる。
占領地で自国通貨を使用すると通貨供給量が増加し、インフレーションがもたらされる恐れがある。これを防ぐため、占領地の経済を本国経済から切り離す目的で軍票が用いられる。
これについて『昭和財政史』(第4巻)は、つぎのように説明している(p368)。
太平洋戦争への突入後、昭和十七年から臨時軍事費の予算は急角度で膨張をはじめ、しかもその支払額のうち占領地域において使用される戦費の割合は、増大していった。このような占領地における戦費支払の増大は、国債の発行をいよいよ増加させ国内のインフレをいっそう促進させるおそれがあったので、国債の新規発行額を抑制する必要から、国債の発行に代って(軍票が用いられた)。
発行の仕組みはやや複雑だ。『昭和財政史』の説明(p368)を要約すれば、つぎのとおりだ
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