開発立ち後れ「宇宙」でもロシア式「できることをやる」戦略
2018年5月25日

クリミア半島セヴァストポリに本拠地を置く「黒海艦隊」のフリゲート艦(C)EPA=時事
宇宙大国のイメージに反してロシアが宇宙開発で後れをとり、それが軍事面でも例外ではないとした場合、そこでロシアが取る「できることをやる」戦略とはどのようなものになるのだろうか。
一言でいえば、これは大気圏の中でも外でも同じである。つまり、米国と同じことはできないが、米国の戦力発揮を制約することはできる、ということだ。
大気圏の中での話を先にしておくと、近年、ロシアは米国が「A2/AD」と呼ぶ戦略を熱心に進めている。これは「接近阻止・領域拒否(Anti-Access/Area Denial)」の略で、要はロシアにとっての重要戦略正面に、いざという時に米軍を入れないこと、入ってきてしまった場合でも自由に行動させないことを意味している。
そのA2/AD戦略が展開されている典型的な地域が、黒海周辺地域だ。
2014年にロシアが併合したクリミア半島やその後も非公然戦争が続くドンバス地方(いずれもウクライナ)、2008年にロシアとの戦争が勃発したグルジア(現ジョージア。現在もロシア軍が駐留する南オセチアとアブハジアの2地方が未承認国家化している)、モルドヴァ内の未承認国家「沿ドニエストル共和国」(やはりロシア軍が駐留)など、黒海沿岸には旧ソ連のホットスポットが集中している。そこから少し内陸部に入ったカフカス地方を見れば、2度に亘ってロシアからの独立闘争が勃発したチェチェンや、今もアルメニアとアゼルバイジャンの武力対峙が続くナゴルノ・カラバフ地方がある。
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