『フィナンシャル・タイムズ』に掲載されているグラフ(FTのHPより)

 

『フィナンシャル・タイムズ』(FT)のロシア及び中央アジア担当記者Henry Foyが、ロシア南部のヴォルシスキー(Volzhsky)という町にある鋼管製造メーカー「TMK」を訪問し、ロシアの最近の石油ガス産業に関する現況を報告している。

 筆者の勘違いでなければ、ここはヴォルゴグラード(かつてのスターリングラード)という大都市の近隣のはずだ。ヴォルゴグラードとは、ロシアの石油産業が現在のアゼルバイジャンの首都バクー近辺で勃興したとき、製造した灯油を樽(バレル)に詰め、カスピ海を船でヴォルガ川河口まで運び、そこで川を遡れる小船に積み替えて運んで来た町だ。ここから先は列車に積み替えて当時の首都だったペテルブルグ(現サンクトペテルブルグ)まで運送したのだった。

 Foy氏は、鋼管製造工場がフル稼働している様子から記事を書き始めている。そして、欧米による経済制裁にもかかわらず、ロシアの石油ガス産業は絶好調だ、と書いている。

 協調減産による油価の回復と、ロシア通貨ルーブルが弱いこと、さらにエネルギー輸出に税制上の優遇措置が取られていることが背景にはあるとしている。これらはすでに報じられていることで新味はあまりない。

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