国民的人気が異常に高い92歳のマハティール首相。だが、政権を揺るがす火種は少なくない (C)EPA=時事

 

 5月9日に投開票されたマレーシア総選挙において、野党の「希望連盟(PH)」が、選挙後に加入した独立系候補と事実上の同盟関係にある「サバ伝統党(WARISAN)」を加えて124議席を獲得し、与党「国民戦線(BN)」の79議席を大幅に上回った。またPHは、下院定数の222議席の過半数を押さえ、1957年の独立以来、政権を掌握し続けてきたBNを破り、初の政権交代を実現させた。選挙期間中の公約に従って、PHを率いたマハティール・ビン・モハマド元首相(第4代:在任は1981~2003年)が政権に返り咲き、92歳の世界最高齢の首相が誕生したのである。

 なお独立からBN結成の1973年までは、その前身である与党連合として、「連盟党(Alliance Party)」が政権を担当していた。

反ナジブを増幅した腐敗構造

 今次選挙を前にして選挙管理委員会は、選挙ポスター用の候補者顔写真の使用制限や投票日の水曜日設定、さらには与党有利の選挙区割りなど、新たな措置に踏み切った。PH陣営が政権与党による露骨な選挙干渉と強く反発したのも肯けるが、そこまでしてもBNはPHの攻勢を押し返すことはできなかったのである。

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