『BBC』HPより(図1)

 

 ドナルド・トランプ大統領が、本当に原油価格を引き下げたいと思っているなら、彼だけにできることが1つだけある。

 5月に表明したイランとの「核合意」離脱に伴うイラン原油の輸出禁止の手を少々緩めることだ。

 だが、トランプ大統領にとっては、国内の福音主義者やユダヤ系が、そしてイスラエルとサウジアラビア(以下、サウジ)が、強く望んでいるイランの「体制変更(regime change)」を目指す政策を優先させるだろうことは火をみるより明らかだ。

 残念ながら、原油価格はしばらく下がりそうにない。

 前回の経済制裁実施の際には、国連ベースの制裁だったこともあり、伝統的なイラン原油の輸入国である日・韓・中・印の4カ国には「限定数量」だけ輸入を認め、それぞれの国の中央銀行にイラン国営石油(NIOC)のエスクロー口座(決済資金の保管口座)を設けさせ、それぞれの国の通貨で代金を払い込ませ、人道的に必要な医薬品や食料品など管理当局が承認する物品の輸入代金として使用させる方策を採用した。その結果、約100万BD(バレル/日量)の輸出が確保されていた。

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