三菱UFJニコスや三菱UFJ証券など主要子会社に三菱東京UFJ銀行から社長を送り込み、銀行によるグループ統治を完成させた三菱UFJフィナンシャル・グループが、出資先のクレジットカード大手ジェーシービー(JCB)の扱いに手を焼いている。 銀行系カードのJCBはもともと三菱UFJの他に三井住友銀行やりそな銀行が大株主として名を連ねていた。しかし、二年前にりそなが公的資金の返済原資にするため売却したJCB株をノンバンクのオリックスが取得。さらに今年五月にはトヨタ自動車グループが出資比率を約六%まで引き上げ、JCBの銀行色は薄まった。 JCBには旧三和銀行(現三菱東京UFJ銀)から社長が直接送り込まれてきた。しかし、昨年六月に就任した高倉民夫社長は旧三和銀出身ながら、〇二年に副社長として入社してからの昇格。カード会員の新規開拓などで切っても切れない関係にあるものの、オリックスやトヨタという後ろ盾を持ったJCBに対し、三菱東京UFJ銀の影響力は低下した。 三菱UFJ、三井住友、みずほの三メガバンクによるカード業界の系列化が進む中で、JCBは最後の大きな出物だ。中立色を保ちたいJCBと、なんとか取り込みたい三菱UFJの駆け引きは続く。

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