定年後もオフィスで働く高齢者は増えたが、人手不足は続いている(写真はイメージです)(C)時事
 

 総務省統計局が6月29日に発表した2018年5月の労働力調査で、仕事をしている「就業者」の数が過去最高を更新した。6698万人で、これまで最高だった1997年6月の6679万人を21年ぶりに上回ったのである。

高度経済成長・バブル期よりも

 今、日本は、深刻な人手不足に直面している。多くの人は人口減少に伴って働く人の数が減っているから、人手不足になっていると思っているが、実際はまったく違う。企業に雇われて働いている「雇用者数」は、ずっと過去最多を更新し続け、5月で5931万人。1957年に初めて雇用者数は2000万人を突破、高度経済成長期を通じて増え続け、1966年に3000万人、1980年に4000万人を超えた。バブル期の1991年に5000万人台に乗せている。つまり、現在の雇用者数は高度経済成長期よりも、バブル期よりも多いのである。

 ただしこの間、自営業を営んだり、農林漁業に従事する人の割合はどんどん小さくなり、「会社員化」が進んだ。この20年間、就業者数が過去最高を更新できなかったのは、こうした農林漁業者や自営業者が少なくなったからだ。

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