アース対フマキラー猛暑の場外乱闘

執筆者:清水常貴2008年9月号

 夏の風物詩といえる蚊取り器で訴訟騒ぎが持ち上がっている。ハイキングや釣り、ゴルフ、野良仕事など、外出時に腰に吊るして蚊を撃退する携帯用蚊取り器を巡って、特許権侵害訴訟が起こったのである。 訴えて出たのはアース製薬。同業のフマキラーに特許権を侵害されたと東京地裁に提訴した。 アース製薬によれば、「当社の携帯用蚊取り器『おそとでノーマット』は、単三乾電池でファンを回し蚊が嫌う薬剤を上下の排気口から噴出する仕組みで、二〇〇〇年一月に開発、特許を申請するとともに全国で売り出しました。今年二月に特許権が認められたので、そっくりな構造の製品を販売しているフマキラーを提訴したのです。フマキラーは当社より二カ月遅れで携帯用蚊取り器を発売。当初は排気口が上だけだったが、四年前から販売している商品は当社が特許を取得した上下の排気口から薬剤を噴出する構造と同じ。明らかに特許権侵害です」(研究開発本部・京谷勝彦課長) 四月に特許登録が公開されるやフマキラーに警告書を送りつけたが、回答を六月二十八日まで待ってくれと要望されたうえ、結局、「特許を侵害していない」との返答が来たという。蚊取り器メーカーは毎年六月までにその夏の全販売量を出荷するのだそうで、「フマキラーは一年分を販売した後に回答してきた」とカンカンになっている。

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