ダッカ市街。「後発」が取れるだけでまだまだ「開発途上国」には違いない

 

 3月22日、バングラデシュの首都ダッカ。独立の父ムジブル・ラーマンの愛称を冠したボンゴボンドゥ国際会議場(BICC)で、同国の後発開発途上国(LDC)「卒業」を祝う記念式典が盛大に開かれた。この日から2日間、ダッカでは祝賀パレードやカルチャーショーなどが開かれ、お祭りムード一色となった。

 国連開発計画委員会(UNCDP)は今年3月、アジア最貧国の1つに数えられていたバングラデシュが、国民総所得(GNI)をはじめ、乳幼児死亡率や識字率などの人的資源開発指数(HAI)、そして農林水産業への依存度や特定品目への輸出集中度などで判定する経済脆弱性指数(EVI)が定められた指標をクリアしたとして、LDCからの「卒業」を認定した。

9年間の移行期間

 ただし、実はバングラ政府のセレモニーはいささか気が早い。今回の「卒業認定」を受けたレビューを経て2021年に開く国連総会で「卒業」が採択される段取りなので、同国が正式にLDC卒業を迎えるのは最短で2024年となる。

 そのため、お祭りムードも落ち着いてきた最近になってようやく、経済の実情と将来展望についての冷静な議論が沸き起こってきた。

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