結局、金正恩党委員長(左)が交渉できるのはトランプ米大統領(右)しかいないのか[KCNA VIA KNS](C)AFP=時事

 

 マイク・ポンペオ米国務長官の訪朝が具体的な成果なく終わったことで、米国内では北朝鮮の非核化の意思を疑問視する声がさらに高まっている。

手詰まりの米国

 与党共和党のジョニ・アーンスト上院議員は7月8日のテレビ番組で、交渉がうまく行かなければ「米韓合同軍事演習を続けるべきだ」と主張した。国防総省のロブ・マニング報道部長も同9日、演習再開の可能性について「指示があれば実行する用意がある」と話した。

 しかし、韓国政府は7月10日、有事の際の韓国政府や公共機関の対応をチェックする定期訓練である「乙支演習」を今年は中止すると発表した。韓国政府は米韓合同軍事演習だけでなく、韓国独自の訓練も中止した。こうした状況で、米国が米韓合同軍事演習を再開することを求めても韓国政府は反対するだろう。米韓合同軍事演習は韓国で行うものだけに、韓国政府が反対では、米国は実施できない。

 こうなってくると、米国には北朝鮮を具体的な非核化交渉に応じさせる有効な手段がない。米朝首脳会談で敵対関係を「新たな関係」に発展させていくとした以上、軍事的な圧迫を強化することも難しい。経済制裁はそのままの状況を維持しているが、中国、ロシアは経済制裁の緩和を要求しており、中ロの経済制裁は既に緩んでいる兆しが見えている。

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